長岡市医師会たより No.261 2001.12

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もくじ
 表紙絵 「刈谷田川にて」      丸岡  稔(丸岡医院)
 「藪医者の話」           渡辺 正雄(渡辺医院)
 「Call me Mark」          小林  攻(長岡中央綜合病院)
 「自己紹介」            立川  浩(悠遊健康村病院)
 「来年への抱負〜東部版忘年会寄せ書き」
 「平成13年度病診協議会」      石川紀一郎(石川内科医院)
 「新会館建設事業の動向〜その4」  会館建設委員会
 「こんなとこにもウイルス」     郡司 哲己(長岡中央綜合病院)

刈谷田川  丸岡 稔(丸岡医院)
藪医者の話  渡辺 正雄(渡辺医院)  

※一部、正確な漢字表現ができておりません。予めご了承下さい。

 薮医者の語源

 技術の拙い医者を薮医者というが、その語源を調べてみて驚いた。実に十指にあまる説があった。

(1) 野巫医(ヤブイ)の義。(広辞苑、大辞泉、日本語大辞典、大言海、佳言集覧など)

○巫医(フイ)とは「みこ」と「医者」のことで、古代「みこ」は祈りで病気を治したので医者と同類とみられていた。(論語、子路)舞楽によって神がかりの状態となり神意を人に伝える女(時に男も) が「みこ」であるが、医者も薬や鍼灸のほかに加持祈頑の呪術によって治療したので巫医(フイ)という言葉が生まれた。

○野巫医(ヤブイ)とはいなかの巫医(フイ)の意で、野は町はずれ、いなか、郊外の意のほかに、かざり気がない、ありのまま(野生、野趣)の意味もあり、又転じて、あらい、いやしい、精錬されていない(粗野、野蛮)の意味も持つ。

(2) ヤブ(草沢)深い僻地の医者の義。(於路加於比)

(3) ヤブはヤフ(庸)の転か。(愚雑爼)庸は平凡な、並みの(凡庸)

(4) ヤブはサビの転で、似て非なるものの意(勇魚鳥)

(薮コウジ、薮ソテツ、薮カンゾウ、薮ツバキ、薮タバコ、薮ラン、薮ニンジン)

(5) 大家(タイケ)には招かれず、常に田夫野人(デンプヤジン)を治療するのみであるところから野夫(ヤプ)の義。(安斎随筆)

(6) 但州ヤブ(養父)にいた良医から、それにあやかろうとしてヤブの名が蔓延したもの。(風俗文選)

(7) 丹波国の名医の名を、力不足の弟子達が勝手に用いた。(話の大辞典・日置正一)

(8) 貧しいために良薬が買えず、薮の中から草根木皮を取り集めて粟としたところから。(勇魚鳥、話の大辞典)

(9) 薮は見通しが悪いから。

(10) カゼの時だけ騒ぐ。少しのカゼで大騒ぎする。

 まだまだ、こじつければいくらでも出て来そうである。しかし、次項で述べる医の本字から考えると、(1)の野巫医(ヤブイ)説が最有力である。

 「醫」の語源

 現在「医」と省略されて味もそっけもない字になっているが、本来は「醫」と書いた。もともと 「医」という字は別にあり、矢をしまいこむ容器の意である。「医」に「几又」が加わった「殴」(エイ)は医を毆(ウ)つ(叩く)、つまり矢を呪器として毆つことで病魔を祓う呪術的な行為である。「エイ」は殴の時のかけ声とも、又「癜」の省字で悪しき姿や病者のうめき声を表わすともいわれている。(大漢語林・鎌田正)

 「酉」は酒器で、薬草を入れて薬酒をかもすことを表わす。「醫」は「酉」の部分を「巫」と書くこともあり、いずれにせよ古代の医術は呪術的なものと酒を用いたことが「醫」という一字から推察できて興味深い。

 「薮医者」は名訳

 語源は何にしろ「薮医者」とは、けだし名訳であると思う。「薮」は水が少なく草、木、竹などが生い茂り、鳥獣が集まり見とおしがきかず、中に何がひそんでいるかわからない不安な場所である。

 「薮医者」にはそういうおどろおどろした感じや、何をされるかわからない不安なイメージが充分に表現されているので、語源「野巫医」(ヤブイ)を超えて今や堂々と正位置をかちとった感がある。

 薮医者をあざける言葉は沢山あるが、次に数例を。

○薮医者が七味調合するよう(むやみに時間ばかりかかって少しもらちがあかない。)

○薮医者の玄関(薮医者が玄関を立派にして患者を信用させようとする意で、不似合に立派な玄関を軽蔑していう。)

○薮医者の手柄話(劣っている者ほど、自慢話をしたがる。)

○薮医者の薬味箪笥(ヤクミダンス)(下手な者ほど道具をより好みするたとえ。)

○薮医者の病人選び(下手なくせに仕事をより好みすること、身の程をわきまえないたとえ。)

 このほかに薮井竹庵などあたかも実在人物のようにあざけってみたり、まだ薮にもなれない「筍医者」などという言葉もある。

 類語に「頭の青い医者」という語がある。昔、医者は僧侶のような服装で頭を坊主にしていた。

 むごいことおととい剃った医者にかけ

 頭の青い、にわか医者にかけるのはむごいことだと嘆いている。大事な寿命を預けるのだから、患者や家族は、知識や経験の豊富な医者に診てもらいたいのが本音なのである。

 最後にベテラン医師達にとっては嬉しい格言を。

○医者と味噌は古いほど良し。

○医者と唐茄子(南瓜)は古きに限る。

○医者と出家は老いたるが良し。

 

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Call me Mark  小林  攻(長岡中央綜合病院)

 初めまして、小林政(まさし)と申します。テレビ番組ERの主人公 Mark Greene が好きなので、皆さんマークと呼んで下さい。昨年4月より長岡中央綜合病院にお世話になり血液内科医としてマークのようにあったかハートで勤務するよう心がけております。皆さん気軽に声をかけて下さい。

 私は、長岡市加津保町の出身で、長岡高校を卒業しました。その後、富山医科薬科大学を卒業し同校大学院へ進みました。大学院修了後の後期研修の際は立川綜合病院内科で主として消化器の研修をさせて頂きました。当時大貫先生(現大貫内科医院長)はじめ諸先生方に大変お世話になりありがとうございました。その後母校医局より血液学研修を命じられ、福井医大第1内科(血液内科)で勤務後、さらに自治医大血液科に勤務しました。専門は血栓止血学です。マサチユーセッツ工科大学で研究をしたこともあり、アメリカ大冒険をして参りました。

 趣味は英会話、旅行、テニス、水泳などです。異文化に接することも好きで、いつか車でアメリカ横断するのが夢です。最近はなかなか時間がとれないので、晩酌や美味しいものを食べることを楽しみにしております。シュークリーム、おはぎ、笹だんごも好きでよく食べます。生活習慣病に気を付けなければなりません。中央病院でなされる健康診断はとても良い機会です。

 年をとったせいか、昔懐かしいふるさと、この長岡で働くことができて大変嬉しいです。「人間万事塞翁が馬」の心境で辛いことや悲しいことがあっても頑張りたいと思いますのでどうぞご指導をよろしくお願い致します。

 

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自己紹介  立川  浩(悠遊健康村病院)

 立川浩と申します。本年4月より悠遊健康村病院に勤務しており、主に神経内科とリハビリテーション科の業務を行っています。

 出身は長岡市で現在38歳です。長岡高校を卒業し、東海大学医学部に入学しました。卒業後も同大学で前期研修を行いました。その後横浜市老人リハビリテーション友愛病院と横浜市立市民病院神経内科を経て、東海大学医学部神経内科に助手として勤務しておりました。

 家族構成は妻と娘(4歳) の3人暮しです。冬の長岡は自分にとっても久し振りで雪のある生活には3人共慣れていないところがあります。悠遊健康村病院は小高い丘の上にあり、職場の人からは冬に通勤するのは大変だと毎日威かされており、どのように過ごそうかと地元の人間なのに心配しています。

 さて、私の所属している東海大学神経内科は、主に脳血管障害を中心に活動していることもあり、医師となって早い時期より脳血管障害とそのリハビリテーションについて関わる棟会は多かったと思っています。昨年までは主に脳血管障害を含む神経疾患の急性期を中心に診療にあたっていましたが、現在は回復期と慢性期のリハビリテーションが必要な患者さんを中心に診ています。悠遊健康村病院は、今年からリハビリテーションセンターとしての機能をさらに高めているところでもあり、今までの経験を生かせる場として魅力のある職場であると思っています。

 私は患者さんが一日でも早く家庭や社会に復帰する手助けができれば良いと思い、今後も活動を続けてゆきたいと考えています。

 まだ赴任間もなく、皆様に名前を覚えで頂く事から始めております。最近は近隣の先生方からも御紹介を頂くようになり、大変有難く思っています。今後共御指導の程よろしくお願い申し上げます。

 

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来年への抱負〜東部版忘年会寄せ書き

一橋一郎(一席整形外科医院)…来年5月で小生も65歳。これで少しは楽な余生が送れるかと思いきや、社会保障制度も槍玉にあがり、夢は退くよう。せめて前向きに頑張ろう!

伊藤本男(伊藤皮膚泌尿器科医院)…健やかに老いる、出来れば80までスキーを滑れるように頑張ってみる事を目標にしたい。

茨木政毅(茨木医院)…得意のボウリングも思うようにいかず、下手なゴルフはもちろんのこと、スポーツをやめると老いが進むため、来年はあらたなる目標を考えて病気にならないようにしたい。

内山春雄(内山耳鼻咽喉科医院)…マイペースで行きます。今年はマイペースを見つける年にしたい。

大塚武司(大塚こども医院)…開業して5年、やっと長岡にもなじんでまいりました。初心を忘れず診療に従事してゆきたいと思っています。

高野 勝(高野医院)…ついに40歳、まだまだ先は長いですよネ。

高橋剛一(高橋内科医院)…来年はとうとう満で古希になります。開業して20年、元気なうちに件にバトンタッチをするのが夢です。

土田桂蔵(土田内科・循環器科クリニック)…ついに50歳、まだまだ先は長い???。のんびり、楽しくマイペースでやりまーす。

栂野光雄(栂野医院)…来年1年もただただ元気に過ごせる事を願うのみです。

鳥羽嘉雄(内科小児科鳥羽医院)…来年は本卦還(還暦)を過ぎて14年目になる。そろそろ第二の青春の始まりだ。

中島 滋(中島内科医院)…66歳、五十?肩、網膜裂孔、まだまだ頑張る気力は充分。

藤島 暢(ながおか生協診療所)…私もボンコツになりましたが、出来る限りがんばります。

山井健介(山井医院)…開業して5年経ち、すっかりなまってしまった体を今年は復活させたいと思います。

横山博之(横山皮膚科)…あっという間に45歳、父の様にDM、心筋梗塞、肝硬変と成人病の塊にはならぬよう気をつけねばと思いつつ、禁酒、禁煙できないだろう。

小原正解先生は、毎日畑仕事を楽しんでいらっしやるそうです。(土田桂蔵 記)

※これは、平成13年12月7日開催の東部班忘年会時に、出席された先生方から「来年への抱負」を記載いただいたものです。

 

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平成13年度病診協議会

石川紀一郎(石川内科医院:副会長・病診委員会委員長)

 平成13年度病診協議会は平成13年11月9日「病診連携」をテーマとして会館青善で開催された。

 その内容は、大病院、中小病院、無床診療所などそれぞれの医療機関の機能分化をおし進めるべく平成12年4月に行われた診療報酬改定や、最近提案された骨太の医療改革案など医療を取り巻く経済並びに社会情勢の大きな変化を踏まえて、これからの病診連携は如何に有るべきかが話し合われた。

 先ず病診連携室が既に活動している三病院について、現在の活動状況や診療所側への要望事項、将来展望などについて述べてもらった。

長岡赤十字病院:電話及び専用FAXによる患者紹介並びに予約、2か月毎の「病診連携室便り」発行等の業務を行っている。紹介患者は月に800件、紹介率は25%位、返答率は70%、逆紹介は月に650件位である。将来的展望として、(1)カルテの事前作成、初診予約など紹介患者優先のシステム作り、(2)返答率100%の達成、(3)積極的逆紹介の推進などがあげられた。

長岡中央綜合病院:患者紹介、検査予約、「病診連携室便り」などほぼ同様であるが、放射線科各種検査は各窓口で、内視鏡検査は内科外来で受付ている。FAXによるカルテの事前作成も行っている。将来的には返書作成100%の達成、中間報告書の作成、オープン病床の設置などである。

立川綜合病院:電話、FAXによる事前受付は同様である。外来紹介患者報告書は受診日報告と検査結果報告と2回行っている。入院に関しては入院報告、中間報告、及び最終報告を行っている。平成12年度中の紹介入院患者返書率は1041例中831例で、79.8%であった。

 以上の様に、より良き病診連携を目指して取り組む三病院の積極的姿勢が窺われた。

 ここで、診療所で診ている患者に緊急入院の必要を生じた場合、医師に直接連絡を取れば良いのか、連携室に連絡するのか或いは他のどんな方法が良いのかという質問があった。

 これに対しては連携室では直接の処理は出来ず仲介する形となるため、直接医師に連絡するのが良いのではないかと言う意見が多かった。

 次でその他の各病院に於ける病診連携に関する現状や考え方などについて述べて頂いた。

悠遊健康村病院:受付は通常ルートでお願いしたい。救急に対応していない。家庭で見るのが無理な方、リハビリの必要な方などをお引き受けしたい。

県立療養所悠久荘:14年4月から「新潟県立精神医療センター」と改称される。全県下から急性期の患者が集まる事になり新しい機能が色々期待されるが、現状は長期入院している古い患者が多い、アルコール依存症、摂食障害者等の為の専門病棟もあり、完全脱酒教育なども行っている。入院の動機づけの為にも、この様な患者を紹介していただきたい。14年1月から新患は予約制になる。

長岡西病院:色々な療養施設の協力病院である。川西地区の開業医からの紹介患者も引き受けているが入院期間が長く回転がおそい。10月の会報に病院の現況について述べたのでご覧頂きたい。今後とも情報公開に努力していくつもりである。病診連携室はあるが、患者の紹介は各科に直接行っていただきたい。

長岡保養園:療養型病床が全部で400床あり、内科は200床、精神科が180床あるが、その内60床は痴呆の療養である。ベッドの回転は少なく、急場には対応しにくい。外来は内科と精神科があるが、老人の不眠、うつ、心気症などで対応に苦慮する場合などが主な対象となる。広く全般でなく、比較的限られた範囲で狭間を埋めていきたい。

吉田病院:内科、外科(主に肛門科)、整形外科の3科がある。紹介患者は直接電話して頂きたい。療養型病床は介護保険36床、医療保険40床がある。利用希望の方は担当の婦長に直接お電話頂ければご相談にのれると思う。

田宮病院:治療棟と療養棟の両方がある。診療所からの紹介は痴呆が多い。急がない場合は診療サービス室のソーシャルケースワーカーに連絡頂ければ、空床情報や、来診日等をお伝えできる。夜間せん妄など緊急の場合は直接看護婦にご連絡頂きたい。

 次に続いて述べられた診療所側からの意見、要望事項等については次のようなものであった。

*紹介状、電話など従来の紹介方法も残して頂きたい。

*連携室から主治医意見書をFAXして貰って助かった。主治医を通さないでも連携室からある程度の情報を頂けると有り難い。

*紹介した患者は、診療所レベルでフォロー可能となったら返して欲しい。

*紹介患者のその後の経過についての返事が欲しい。(以前よりは改善しているが)

*連携室の窓口の受付様式を三病院で統一できないか? 患者情報提供者と申し込みのFAX用紙の記入と二度手間になる。何とか改善出来ないか?

*紹介状に記載してある略語は一般的なものは良いが専門的なものは理解しにくい。出来れば、辞書を引けば分かるように省略しないでか、日本語で書いて欲しい。

*在宅患者を見ており適宜ショートステイ、急性期の入院等をお願いしている。病院から送られた患者を見ていく際、病院での検査の生データーを頂ければ大変参考になる。

*外科に紹介入院した患者のオペ待機についての質問があったが、これに対しては緊急度に応じた適切な対応が取られている。

旨回答があった。

 病院から診療所側への要望事項としては、

 開業医にかかってる患者が夜間突然来診したとき、主治医との連絡が取れないため投薬、治療などの情報が全く得られない。

 かかりつけ患者の時間外の管理、病院との連絡などについて何か良い方策は無いのか?

 以上各立場の方々から活発な発言があり、貴重なご意見を頂いた。これらの中から問題点を拾い出し、病診委員会などで検討して方向性を見出して行く予定である。

 さし当たっては、(1)病診連携室の受付様式の一本化、FAX用紙の統一、(2)かかりつけ医患者の時間外管理の問題などが問題点として浮上してきております。

 皆様の忌悍の無いご意見をお待ちしております。

 

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新会館建設事業の動向〜その4 会館建設委員会委員長 大貫啓三

 11月1日の設計コンペ選考委員会で採用案を決定した後、設計監理業務報酬等について交渉を行ってまいりましたが、この度条件がまとまり、正式に契約する運びとなりました。

 新会館の設計監理を行うのは、長岡市を中心に活動している建築家グループ「建築と都市を考える会」のメンバー4事務所で構成する「TeamTERRA(チームテラ)」です。これは新会館のために編成されたユニットで、皆、長岡市内に事務所を構える新進気鋭の方々であり、当方の期待に充分応えていただけると確信しております。

 設計コンペにあたり、会館建設委員会では新会館のコンセプトを主に以下のように考えました。

  *中越地区医師会の拠点

  *会員の生涯学習・親睦・交流の場

  *災害時情報拠点

  *開かれた医師会館

 具体的には、通常のスペースの他

  *映写音響設備を充実した「大ホール」

  *歴史的な資料などを展示する「医学資料室」

  *文献、統計資料などを公開する「保健医療図書室」

を会館内に設け、一般にも開放することといたしました。TeamTERRAによるB案はこれらの構想を最も明確に表したものとして採用することになつたわけです。

 これから来春に向けて、このB案をベースに基本設計並びに資金計画の具体的な検討に入りますが、より満足度の高いすばらしい会館にするためには、数多くの建設的なご意見をお願いしたいと思います。設計コンペに提出された模型、図面は引き続き医師会館2階に展示しておりますので、改めてご覧いただき、できるだけ多くの会員の方々から積極的に参画していただきたいと思います。

Team TERRA(チーム・テラ) ※順不同、◎印はチームの代表

◎アーキセッション(小川峰夫氏、栖吉町)

 今井保一設計室(今井保一氏、幸町3)

 サトウクリキ設計事務所(久力正通氏、水道町)

 和田正則・建築環境計画(和田正則氏、下条町)

 

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こんなとこにもウイルス  郡司 哲己(長岡中央綜合病院)

「もしもし、Oですけど。」

「やあ、さちこ姉さん、おひさしぶり。」

「あなた、元気なの?」

「まあぼちぼちでんな。めずらしく電話でどうしたの?」

「じつはあたしのパソコンがウイルスにやられちゃつたのよ。あなたのところにも、ウイルス感染のメールが行っていないかと心配して。」

 たしかに数日前に、一部文字化けした柿からのメールが添付ファイル付きで届きました。ああこれはウイルス・メールだなとすぐ見当がつきただちに削除しました。

 そんな話をすると、わたしと違い付き合いの幅広い社交家である姉はひとまず安心したようでした。

「それでパソコンを切って、電話連絡をあちこちにしているのよ。男の友だちはたいてい、こういう情報を知っているから、ウイルスだと疑って処理してくれて大丈夫みたいね。女のほうがみんなもうだめなのよ。添付ファイルがあるとどうしても開けちゃうみたいね。きっと好奇心が強いんだわね。」

「さちこ姉さんもじつは添付ファイルを開けたくちでしょ?」

「そう。でも日頃から、テニスのトーナメント表とか旅行日程とかエクセルで作って添付ファイル寄越す友達がいるもんだからね、つい。あはは。」

 東京暮らしの姉に初めに届いたウイルス感染メールは、なんと地元長岡の友人からだったそうです。そこに注意の電話をしたら 「あなたが先に寄越したんでしょ?」と、この辺のことはよくわからない女同士で口喧嘩になってしまったと姉は笑いました。

 このなんとかというウイルスは感染すると、そのパソコンのアドレス帳に入り込んで悪戯するんだそうですな。その人のアドレス帳に記載のある住所宛に、つぎつぎと自動的に感染性のある添付ファイル付きのメールを、複製して出し続けるんだそうで。また起動や終了にとてつもなく時間がかかるようになるともいいます。

 ところでメーリング・リスト(ML)というのは、インターネット上で、特定多数の参加希望者の間で、Eメールのやり取りをするきわめて人為的な集団です。ここでウイルスに感染することも多いそうですね。わたしの参加するMLのうち、地元新潟のふたつについ最近ウイルスに感染したメールが侵入しました。

 新潟県小児科医会のMLは、本物の病気のインフルエンザなどのウイルスの流行状況など、県内の最新の「口コミ情報」をお互いに毎日リアルタイムで教えあい、とても有用です。ここがにせウイルスに侵入されるという皮肉な現象が起きました。

 また長岡市医師会でも「とても地道な」活動の医師会員MLがあります。ここにもつい最近ウイルス感染メールが入り込みました。こんな田舎の少数の寄り合いにまで魔の手が延びるとはね。

 プロバイダー提供のウイルス除去チェックのソフトのサービスを、念のために使って見ながら、ふと思いました。このコンピューター・ウイルス騒動は愉快犯の悪戯とされているようです。ミステリー小説ファンとしての推理は…。

「犯行により利益を得るやつが犯人だ。」

 ウイルス退治ソフト屋さん、ほんとうに巻き散らかしていません?

 わたしのコンピューターはチェックの結果は、職場のものも家庭のものももっか無事です。

 

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