長岡市医師会たより No.413 2014.8


もくじ

 表紙絵 「木洩れ日の渓流」 丸岡稔(丸岡医院)
 「宝塚歌劇百周年記念 風と共に去りぬ〜その1」 福本一朗(長岡技術科学大学)
 「英語はおもしろい〜その37」 須藤寛人(長岡西病院)
 「第141回新潟県医師国保組合会」 理事 荒井義彦(荒井医院)
 「蛍の瓦版〜その3」 理事 児玉伸子(こしじ医院)
 「巻末エッセイ〜奈良まほろばの旅〜その4」 郡司哲己(長岡中央綜合病院)



「木洩れ日の渓流」 丸岡稔(丸岡医院)


宝塚歌劇百周年記念「風と共に去りぬ〜その1」 福本一朗(長岡技術科学大学)

 2014年で創立百周年を迎える宝塚歌劇は、宝塚音楽学校(二年制定員40名)を卒業した生徒達のみで構成される5組(雪組・月組・花組・星組・宙組)各80名の独身女性だけの劇団員(宝塚ジェンヌ)により演じられる、歌・踊り・芝居を総合した世界初の“歌劇”であり、ムーランルージュの“レビュー”、ブロードウェイの“ミュージカル”と並ぶ人類最高の総合芸術である。これまで約100名のトップを含む4400名の宝塚ジェンヌが演じてきたこの歌劇は、1500回の上演と通算観客動員数400万人を記録した「ベルサイユの薔薇(1974年初演)」や、1182回の上演で266万人の観客を集めた「風と共に去りぬ(1977年初演)」を始めとして、百年間で計750万人の観客を動員してきた。特に後者は今なお世界中で多くの人に愛されているベストセラー小説であり、映画版の大ヒットでも有名な Margaret Mitchell の名作「風と共に去りぬ Gone with the wind(Fig.1)」を、宝塚歌劇がミュージカル化したもので、米国唯一の内戦(The Civil War)であり1861年から1865年までの5年間に南北両軍計62万人(比較:第二次大戦40万人)の同胞の血を流した南北戦争を舞台に繰り広げられる、ドラマティックでスケールの大きい舞台は好評を拍し、五組すべてと各組選抜の合同メンバーによる再演を重ねてきた。2002年には1994年以来12年間レットを演じて最高の男役との評価を得てきた専科の 轟悠(とどろき・ゆう)と宝塚歌劇の歴史上最高のダンサーである 朝海(あさみ)ひかるがスカーレットを演じて高い評価を得た(Fig.2)。そして2014年1月には宝塚始まって以来の美人男役トップの月組 龍真咲(りゅう・まさき)がスカーレット・オハラを演じ、轟悠のレットと最高のコンビで宝塚歌劇百周年記念公演の一環として梅田芸術劇場で上演された(Fig.3)。

〔宝塚歌劇「風と共に去りぬ」のあら筋〕
〔第一部〕スカーレット・オハラは愛するアシュレと結婚できなかった腹いせに、アシュレの妻メラニーの兄チャールズと結婚するが、間も無く死別しアトランタへやって来た。チャリティーバザーの夜、ダンス相手の女性を競り落とすイベントで、喪中のスカーレットに法外な値を付けた男こそが、レット・バトラーであった。南軍の兵士として出征したアシュレが一時帰還したとき、スカーレットはサッシュを贈ると共に自分の想いを告白するが、彼はメラニーを頼むと告げるのみであった。劣勢の南軍に北軍が迫り、アトランタが戦場になったため、スカーレットはアシュレとの約束を守って妊娠中のメラニーらと共に故郷タラへの疎開を決意する。燃えるアトランタの町からスカーレット達を荷馬車で避難させたのはレットであった。その途中でレットは南軍に志願しその場から戦場へ赴く。やがて南軍は敗北。荒れ果てたタラを見て、スカーレットはこの土地を守り抜くと決意する。「神さまが証人だわ。神さまを証人にしてあたしは誓う。あたしはヤンキーなんかに屈服しやしない。どこまでだって生き抜いて見せる。そして戦争が終わったら、もう二度とひもじい思いなんかするものか。そうだ、うちの人たちにだって、ぜったいにそんな思いをさせはしない。よしんば、そのためには、盗んだり人殺しまでしなければならないとしても、神さまを証人にして、二度とひもじい思いなんかするものか。」 注1)

"As God is my witness. As God is my witness, the Yankees aren't going to lick me. I'm going to live through this, and when it's over, I'm never going to be hungry again. No, nor any of my folks. If I have to steal or kill, as God is my witness, I'm never going to be hungry again." 注2)

注1)マーガレット・ミッチェル著 大久保康雄・竹内道之助訳 「風と共に去りぬ」、河出書房新社刊世界文学全集別巻2ミッチェル、p99,1960 

注2)Margaret Michelle:"Gone with the wind", Warner Books, New York, p421,1993

〔第二部〕スカーレットはレットと結婚していた。敗戦で無気力となったアシュレを自分の経営する雑貨店に雇っていたが、スカーレットと二人で抱き合う姿を奥様方に目撃されて町の噂になる。激高したレットはスカーレットを強引に2階へ連れて行こうとするが、スカーレットは足を踏み外して転落し大怪我を負う。強い後悔と不安にかられたレットはメラニーに、スカーレットを心から愛していると告げる。メラニーは流産し死期を悟り、スカーレットにレットの真意を告げて息を引き取る。その言葉によってスカーレットはレットへの愛情に気付き、それを彼に告白するが、時既に遅く彼はひとり去っていくのだった。「今は考えまい。考えようとしても、今はとても考えられない。明日、タラで考えることにしよう。明日はまた明日の日が照る。

「"I'll think of it all tomorrow, at Tara. I can stand it then. Tomorrow, I'll think of some way to get him back. After all, tomorrow is another day." p1024」

 この有名な最後の独白の邦訳では、原文にある “some way to get him back(彼を取り戻す手だて)”という句が、省略されているため、スカーレットはレットと決別し独立した人生をタラで一人歩む様な印象を受ける。これではこの作品は悲劇で終わってしまう。しかし思い込んだら一途に自らの人生を切り開いて行く激しい気性のスカーレットには、あらゆる手管を駆使して愛する男を取り戻すように積極的に努力してゆく人生の方がより相応しいと思われる。原作者もおそらく、ハッピーエンドに繋がる期待と余韻を残して筆を置いたのであろう。(続く)

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英語はおもしろい〜その37 須藤寛人(長岡西病院)

disclose 明らかにする
  問診時、プログレスノート記入時、あるいは退院時サマリーを書くとき「明らかになった」とか「(であることが)分かった」という表現をすることが多い。具体的には、「既往歴は……であった」とか「検査結果は……であった」というような時に頻用される英語の "disclose" や "reveal" について見てみたい。また、後半部において、症例発表や医学論文作成に良く使われる、同じような意味を持つ、「解明する」という英語の "elucidate" と "clarify" についても言及してみたい。
 "Past history disclosed that the patient underwent appendectomy at age eight."、 "Her childhood disease disclosed measles and pneumonia." 、"Family history disclosed hemophilia A on her mother's side uncle."、などは今回私が作った文章である。
 研究社新英和中辞典では disclose は(他動)(1)(隠れたものを)あらわにする、暴露させる;(秘話などを)暴露する、摘発する」、(2)「〔+that〕(……ということを)明らかにする、発表する」であるが、ライフサイエンス辞典では「明らかにする、開示する、公開する」とある。
 Merriam-Webster 大辞典では、語源は L. dis - dis + claudere to close で、意味は(1)exposed to view(見えるようにする)、(2)lay open or uncover(開けたり、カバーを取った状態にする)、(3)知られるようにするで、同義語は reveal とある。
 共起表現の300例でみると、"We disclosed ……"が28例で、"Our data d."、"The result d."、"Study d."、"Analysis(es)d." 、"Previous work d." 、"Database d." 、"The examination d." 、"The finding d." などの表現が多く、45例にみられた。受動態で "be(have been)disclosed" はより多く70例に用いられていた。
 次に reveal についてみたい。私が今回作った文章は、"Blood test revealed HBsAg was positive but negative for HBeAg."、 "Liver profile revealed GOT120IU/L、 GPT80IU/L ……" などである。 reveal は研究社中英和辞典では(他動)(1)「(秘密、事実などを)漏らす、明かす;(……を)明らかにする、暴露する。(2)(隠されていたものを)見せる、あらわにする、示す。(3)神が啓示(黙示)する。」とあるが、ライフサイエンス辞典では「明らかにする」の一訳語のみで、実にすっきりしている。
 M-W大辞典には reveal の語源は L. revelare to reveal、unveil、from re-velare to veil、from velum veil とあり、「(婦人の)ベール・かぶり物をはぐ」の意味から来ているようだ。意味は (1)make publicly known(秘密や隠された物が)公に知られるようにする(=divulge 暴露する)、(2)open up to view(見えるものにする);show plainly or clearly(はっきり示すようにする);display(公開する)。名詞は revelation とある。
 共起表現の300例でみると、まず、"We reveal ……" という言い方は1例しか見いだせず、また、"be revealed" のような受動態は4例のみで、これらのような使用は特殊的であると思われた。多い使用法は "analysis revealed"、 "assays r."、 "data r."、 "finding r."、 "results r."、 "studies r."、 "work r." などの表現で、合わせて95例あった。また "reveal that ……"の言い方は実に多く、117例に及んでいた。
 disclose と reveal は interchangeably に使われるようであるが、M-W大辞典には reveal の項目においてこれらの同義語についての差異が詳述されている。全文を翻訳すると、「reveal:は〔知られるようにする〕、〔明らかにする〕で、時に、unveiling(ベールを取る)のような意見を〔発表する〕である。〔啓示〕から〔simple disclosure(単なる公開)〕と言う意味に用いられ、また、〔兆候、症状、証拠が示される〕時に用いられる。discover:はもともと、〔覆いを取って(uncovering)知られたり、示すようにする〕であるが、普通には、それまで知られていなかったことを初めて明らかにする「発見」である。disclose:はdiscoverより、意味合いにおいてより普通のこと(more common)で用いられる。その他の類似語として divulge:は〔暴露する〕、tell:は単に必要な、役立つ情報を与えると言う意味合いである」と書いてある。
 回診や検討会では「明らかにする」は口語上「示す」に言い換えて、"show" や "be shown" あるいは "exhibit" や "demonstrate" などが頻用されてよいであろうが、文章語作成になったら、アメリカ人の高校生以下にみられないように、disclose や reveal などを加えたほうが良い。
 「明らかにする」、「解明する」という意味で、論文上良く用いられる英語に "elucidate" と "clarify" が挙げられる。elucidate は研究社新英和中辞典では(他動)「(……を)明瞭にする、はっきりさせる、説明する」で、ライフサイエンス辞典では、「解明する、明らかにする」である。M-W大辞典には、語源は、LL. elucidatus、 過去分詞 elucidare、 from L. e-lucidus clear、 bright とあるので、「光の明かり」に遡ることができるようである。ちなみに英語 lucid はL. lucere to shineを語源とする。
 共起検索の300例文でみてみると、"To elucidate ……" と文章の最初に置かれることが30例と多く、例文:"To elucidate the mechanism underlying this switch、……" にみる如く、いかにも論文用語であることが推測される。"These finding elucidate"、 "Recent studies have elucidated that"、 "These results elucidate" などの言い方が多く、We を主語とするものは4例と極めて少なかった。このことは、後述するように、"elucidate" が持つ「解明する」という言葉の重さの表れかも知れない。受動態での使用も多く、"…… to be elucidated."(例文:"…… the role of inflammation remains to be elucidated.")、"have(not) been (fully、clearly、completely) elucidated." は43例に及んでいた。
 clarify は、研究社中英和辞典では(他動)(1)「(液体などを)澄ませる、浄化する」。(2)「(意味などを)明らかにする;はっきりと説明する」で、ライフサイエンス辞典では、「明らかにする、明白にする」である。M-W大辞典には語源は LL. clarificare, from L. clarus clear + -i- + -ficare -fy で、「澄んだ(clear、pure)」に求められる。重複的になるが、「confusion、doubt、uncertaintyな意思や理解をはっきりさせる」という意味になる。
 共起検索300例文でみてみると、"To clarify ……" で始まる文章が多く、例文:"To clarify the effects of multivitamin supplementation、" の如く、42例もあり、固い論文用語のように感じられる。"…… to clarify"、ex.: "additional studies are needed to clarify the relationship between two epidemics ……" は74例と多かった。"These result clarify ……"、 ex.: "These results clarify inconsistencies from prior studies、……" 、"Our data clarify"、 "These findings clarify"、 "This work clarify" などが18例、"We clarify (clarified)"、 ex. :"We clarify the mechanisms underlying CD 40 Le xpression." は11例に使われていた。受動態での使用は、"…… to be clarified"、 "has(not) been clarified" はそれぞれ10例で、全体的にはそう多くは無かった。
 clarify と elucidate の相違はどの辺にあるのであろうか? この点を詳しく書いたものに遭遇しなかったが、elucidate の方が、極めて複雑な問題を明らかにしたとき(解明したとき)に用いられる傾向にあるのではという印象を持っている。
 今回は、「明らかにする」という4個の英単語をあげてみたが、元々の意味が「閉まったものを開けて(disclose)」、「ベールをとって(reveal)」、「光が明るくなって(elucidate)」そして「水が澄んで(clarify)」、その結果、「はっきりと明らかになった」という言葉であった。そこには微妙な語感の差異が隠れているわけであるが、それらを正しく汲み取ることはなかなか難しい。だからこそ英語はおもしろい。(続く)

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第141回新潟県医師国保組合会 理事 荒井義彦(荒井医院)

 去る7月19日県医師会館3階大講堂にて開催された医師国保組合会に組合会議員として田辺一彦、窪田久両先生と出席しました。当医師会関係では組合会理事として大塚武司先生、監事として大貫啓三先生も出席されました。当日は現況報告、議案審議4件は特に異議なく了承されました。
 今回この場を借り、現在の医師国保がおかれている状況について報告したいと思います。
 御存じのように医師国保の構成員は第一種組合員(医師)、第二種組合員(従業員)、及び家族から成り立っています。昨年度の国庫補助は、かかった医療費の第一種組合員では32%ありましたが、第二種組合員は13%と半分以下でした。また補助率の少ない第二種組合員の割合が多いため平均すると一人あたり20%に減ります。さらにこの国庫補助も、民主党政権下の仕分け対象となり補助が、廃止されることが決定されておりましたが、政権交代によりかろうじて継続されております。ただ今後減額されることはまちがいなく、組合員は75歳で後期高齢者となるため退会となりますが、高齢者関係の拠出金が増加していることもあり、減額の程度によっては財政が厳しくなり将来的に保険料値上げとなるやもしれません。減額幅は今年の秋に概ね決まる見通しです。当組合も療養付加金制度廃止等の財政引き締めを実施しております。給付率等他の組合国保や協会けんぽに比較してまだ有利です。今後の見通しは不透明ですが政治絡みの要因に左右されるため、遅まきながら日本医師会内にも専従の部署ができました。
  今後の国の対応について、個々の医師が関心を持ち続けることが、医師国保の存続に繋がるものと考えます。

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蛍の瓦版〜その3 理事 児玉伸子(こしじ医院)

1.新たな財政支援制度 その2
 先月号でお知らせした“新たな財政支援制度(医療改革新基金)”は、今年の6月に国会で成立した“医療介護総合推進法”に基づいています。この法律の目的は、持続可能な社会保障制度の再構築で、医療と介護については給付の重点化・効率化とともにその抑制を図ることです。
 同法では、医療提供体制の再編に向けた政策手段が拡充されています。都道府県は“地域医療ビジョン”を策定し、それに沿って病床機能の再編を進めます。医療機関には病床の機能転換や削減を要請・勧告し、従わない場合のペナルティーも決められています。また医療改革新基金を財源に、スタッフの確保や医療提供体制の整備を図ります。
  “医療介護総合推進法”では、介護サービスの給付抑制も目指しています。一定以上所得者の自己負担の引き上げや補足給付の制限、施設入所対象者の厳格化があります。また、要支援者に対する予防給付が、介護保険から市町村主体の地域支援事業へ移行されます。
 厚労省では、7月25日に新基金の基本的な方針を決める“医療介護総合確保推進会議”の初回会議を開いています。この会議では、医療と介護を並行して人材確保等を図るよう提言されています。新潟県は、先日の医師会主催のビールパーティでも新潟県医師会長の渡部先生が触れられましたが、当初は医療に重点をおく方針で、在宅医療ネットワークを検討中とのことです。

2.地域包括ケア推進協議会
 長岡市では、地域包括ケアシステムの推進に当たり、関係する各分野の代表から成る“地域包括ケア推進協議会”を発足させました。この推進協議会は医療と介護に関する様々な職種の代表者と行政の関係部署より成り立っています。協議会には国の補助が見込まれています。
 参加者は多岐にわたり、職能団体としては、医師会・歯科医師会・薬剤師会・栄養士会・歯科衛生士会・理学療法士会・作業療法士会があります。協議会では訪問看護ステーション・介護支援専門員や社会福祉協議会が参加しています。その他に長岡地域救急懇談会・県地域振興局・三古老人福祉会・長岡福祉会・三島病院認知症疾患医療センターがあげられます。行政からは、福祉保健部を中心に、福祉総務課・介護保険課・長寿はつらつ課・健康課・住宅施設課が参加し、長寿はつらつ課が事務局を務めています。
 長岡市医師会の太田裕会長が会長を務め、副会長は歯科医師会の鞍立暁則会長とこぶし園施設長の小山剛さんです。長岡市医師会からは太田裕先生の他に、担当副会長の長尾政之助先生と“ほんだファミリークリニック”の本田雅浩先生が参加されています。
 昨年度は“地域包括ケアシステム推進懇談会”として、もっぱら意見聴取に努めてきましたが、今年から協議会として実際の活動を開始しています。協議会は年4回の開催を予定し、今年度は5月日に第1回の16会合が開かれ、山崎副市長も出席されました。
 今後の活動としては、以下の6項目が予定されています。
(1)在宅ケアに関する実態調査
  在宅ケアに関するニーズと、医療と介護の資源状況を調査し地図上に落とし込みます。先日A会員の皆様にアンケートへのご協力をお願いしたものです。これによって地域ごとの課題を“見える化”してゆきます。地方自治研究機構との共同研究としてモデル事業的存在で、来年の3月に報告書ができ上る予定です。
(2)栃尾・小国地区でのタブレット活用モデル事業
  医師の訪問診療を受け、訪問介護や訪問看護の介護サービスを利用している方について、独自のタブレット端末機を用いて多職種間の情報共有を行います。国の助成を受け、二年間の予定で実施中です。
(3)先進自治体の視察と各種研修会への参加
 10月5日(日)に柏市の視察が予定されています。
(4)多職種連携に向けた勉強会
 7月19日に第1回目の在宅ケアに関する講演会が開催されました。
(5)認知症対策推進
 従来から行われてきた普及啓発事業や家族支援事業をさらに推進し、“タッチパネル式認知症スクリーニング機器”を導入します。
(6)地域ケア会議
 国が将来の実施を義務付けているもので、今年は地域包括支援センターなかじま圏域の要支援1、2認定者を中心に開始し、徐々に対象地域と対象者を拡大する予定です。医師を除く専門多職種が助言し、ケアマネや介護サービス提供事業者が協働してケアプラン作成を行います。
 以上、現在の取り組み状況を簡単に紹介しました。

3.高齢者肺炎球菌ワクチン予防接種
  本年10月から定期予防接種として実施されます。一般世帯での自己負担額は4,640円ですが、対象者に制限があるのでご注意下さい。幼児の水痘ワクチンの予防接種も同時期に始まりますが、こちらも対象に制限があります。

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奈良まほろばの旅〜その4  郡司哲己(長岡中央綜合病院)

 「よかったわね、やっぱり聖林寺に寄って。」と得意そうな家人。
  じつは昨夜の打ち合わせで、わたしの翌日の計画は室生寺と長谷寺、〜ここは聖林寺も外せないと案内本を見ながら家人が提案。そこで一部行程のタクシー利用で、三つの寺院を回れそうと計画変更したのです。
  さて聖林寺からタクシーでそのまま長谷寺へ。花の寺の呼び名にふさわしく、長谷寺は参拝の石段の両脇が満開の牡丹です。本尊の十一面観音像が特別公開で、十メートルを越す身丈のおみ足に直に触れてお願い事ができました。
  帰りに参道の途中でたまたま立ち寄った店「とらせ」。名物の柿の葉寿司と胡麻豆腐を自宅と友人数カ所に宅配依頼しました。この評判はみな上々で、気に入って、すでに直接お取り寄せ追加注文した従姉も……。店頭でサービスに出してくれた黒糖蜜かけのくず餅は冷たくておいしい、ささやかなしあわせの味でした。
  長谷寺駅から室生口大野駅まで電車、そこでバスで室生寺へ。本堂、金堂、弥勒堂に五重塔、七百段余りの石段を登り、超難関の奥の院も見学。そこかしこ山の斜面がほぼ石楠花の花で彩られています。

  石楠花の曼荼羅絵図のそばへかな  蒼穹

 仏像は見応えがあり、十一面観音菩薩立像、釈迦如来坐像、十二神将像、如意輪観音など。平安前期の作らしいが、いずれも人間くさい個性的な表情に魅了され、つい十二神将像の写真集と釈迦如来のファイルを購入です。
 また本堂では立て膝のくつろぎ姿で癒し系お顔の如意輪観音(三大如意輪の一つ)と曼荼羅図を間近に見ながら、真言密教の潅頂の儀式の解説を御坊さんが熱心にしてくださり、よかったです。
 室生寺前の橋本屋で遅めの昼食をとろろ蕎麦定食と冷酒で。ねばる本格とろろで箸で持ち上がるほど。
 バス停まで歩く帰りの参道の店にかの「陀羅尼介」の緑の袋が山積で売ってるのを発見。ご存じですか? 奈良の伝統的胃腸薬です。なんと七世紀の疫病流行時に、あの役小角がこれを作り、民を助けたという伝承がある。キハダが原料(ベルベリンが主成分)なので止痢剤ですな。
 帰りは順調に電車で桜井駅経由で奈良駅に着くとまだ午後のうち。よしと国立奈良博物館に足を伸ばし、閉館一時間前に入館です。朝刊の紹介記事にあった鎌倉国宝館の仏像、とくに東慶寺(神奈川)の水月観音菩薩遊戯坐像を鑑賞できました。中国渡来の仏画を参考に作られた像で、遊戯坐(ゆげざ)という足をくずしたくつろぎの座り方がめずらしいのか、ふむふむ。

 かくて奈良まほろばの旅、三日目も仏像見学に暮れました。夕食は「ふつうの居酒屋よりすこし高いが……ゆっくりとおいしいお酒と季節の料理…とくにおすすめ」と、もりきあやの案内本にある「梁山泊」なる割烹まで歩く。カウンターには備長炭で焼くかまど。「大和肉鶏の焼き鳥は食べないとね」と家人が選ぶ。わたしも負けじと豊富な献立からあれもこれも。料理の出来栄えに納得、会計の際、もりき本の記述に納得。
  奈良アジールの評判のおばんざいバイキング朝食はうまかったが、柔らか過ぎの白飯はやはり土地柄か。朝一番JRみやこ路快速で奈良駅を出発、週末返上三日間のアレルギー学会のため京都に向かいました。
  (ちなみに家人は京都でも、日中は別行動で名所旧跡めぐりの予定。御朱印帳を片手に……)

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