C型肝炎の管理と治療

Q40:C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)の治療には専門医への相談が必要ですか?

 精密検査、治療法選択の相談等のために専門医を受診することが必要です。C型肝炎ウイルスに感染している人の治療を行う際には、C型肝炎治療に関する最新の知識、経験によることが望ましいからです。

 献血をした際や各種の検診を受けた際などにC型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)であることが初めてわかった人を定期的に詳しく検査してみるとほとんどの人の肝臓に「異常」(慢性肝炎)がかくれていることがわかってきました。

 医者の診断で肝臓に「異常」(慢性肝炎)がみつかった人でも、ただちに本格的な治療を必要とするほど進んだものではない場合が半数以上にのぼります。しかし、ある程度進んだ慢性肝炎を放置すると時によっては知らず知らずのうちに肝硬変や肝がんに進展することもあるので注意が必要です。

 初診時に、肝臓に「異常」がみつからなかったり、ごく軽い慢性肝炎でただちに本格的な治療を始める必要はないと診断された場合でも、定期的に(2〜3ヶ月ごと)に専門医を受診して検査を受け、新たに肝臓に「異常」が起こってないかどうかをその都度確認することが大切です。

 いうまでもないことですが、C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)は、肝臓に「異常」がなくても、飲酒は可能なかぎり控えることが大切です。

 日本肝臓学会では、ブロックごとに肝臓専門医に関する情報をホームページ(http://www.jsh.or.jp/)上で公開しています。

 

Q41:日本にはC型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)がどれくらいいると考えられていますか?

 1995年から2000年までの6年間に全国の日赤血液センターにおいて初めて献血した348.6万人について、2000年の時点における年齢に換算して集計した年齢別にみたHCV抗体陽性率をみると、16〜19歳で0.13%、20〜29歳で0.21%、30〜39歳で0.77%、40〜49歳で1.28%、50〜59歳で1.80%、60〜69歳で3.38%となっています。

 HCV抗体陽性であった人の約70%がC型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)であるとして試算すると、わが国の15歳から69歳までの人口9332.6万人中85.7万人〜104.1万人くらいの人が検査を受けなければ自分がC型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)であることを知らないまま生活していることになります。

 なお、これに70歳以上の年齢層におけるC型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)を加えると、わが国におけるC型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)の総数は150万人以上にのぼると推計されます。

 なお、すでに肝臓病で治療している人はこの数には加えられていません。

 

Q42:C型肝炎はどのように治療しますか?

 C型肝炎の患者の治療は、病気の活動度や進行の状態(病期)によって方法や効果などが違います。インターフェロンや、リバビリンという抗ウイルス剤を用いる場合、これらの薬による効果は、ウイルスの遺伝子型(ジェノタイプ)や量によって差があり、副作用の問題もあります。そこで、治療薬や治療方針の選択については専門の医師による判断が必要です。一般にインターフェロンによりC型肝炎ウイルスの排除(治癒)に成功するのは、全体では100人中約30人前後、リバビリンを併用した場合には40%前後と考えられます。

 インターフェロンやリバビリンでウイルスを排除できなかった場合でも、肝酵素(ALT、AST等)値が正常範囲を超えて上昇している場合には肝臓を庇護(ひご)する治療を行い、肝臓の細胞が損傷されることを抑え、肝臓の線維化を防ぐことで、肝硬変や肝がんになることを予防したり、遅らせたりする治療が行われます。

 

Q43:治療費用はいくら位かかりますか?

 一般的に治療等に必要な医療費は医療保険が適用されますが、自己負担額が高額になった場合は、高額療養費制度の対象となり、一定の基準額を超える部分が保険から給付されます。この基準額(1ヶ月当たりの自己負担限度額)は、一般的には72,300円(所得の高い方は139,800円)に一定の限度額を超えた医療費の1%を加えた額となります。ただし、低所得者の場合は35,400円となります。

 実際に給付を受けられるかどうか、受けられる場合その額はいくらか、どのような申請を行えばよいか等については、加入されている医療保険の保険者(例えば、政府管掌健康保険であれば社会保険事務所、組合管掌健康保険であれば健康保険組合、また国民健康保険であれば市町村等)や医療機関の窓口等にお訊ね下さい。

 

Q44:インターフェロン療法は効果がありますか?

 インターフェロン単独での有効率(ウイルスが完全に排除される率)は平均すると約30%ですが、抗ウイルス剤であるリバビリンという薬と併用することにより有効率は平均で40%前後にまで増すことが示されています。

Q45:インターフェロン療法及びインターフェロンとリバビリンの併用療法の副作用にはどのようなものがありますか?

 インターフェロン療法を行っている多くの患者さんにはインフルエンザ様の症状(発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身けん怠感、食欲不振等)が治療開始後早期にみられます。

 しかし、これらの副作用は治療を続けていくと軽くなっていきます。

 特に注意するべき副作用は、1〜2%にみられる「うつ状態」及びそれに伴う「自殺企図」です。これは、不眠や不安感等から始まります。

 また、間質性肺炎や白血球減少などにも注意が必要です。

 なお、妊婦へのインターフェロンによる治療は、十分な安全性が確認されていないので普通はおこないません。

 リバビリンを併用した場合の、注意すべき副作用として、貧血や肝機能障害が挙げられます。また、催奇形性があるので、妊婦に投与することはできませんし、男性への投与に関しても、パートナーの方の妊娠等の状況によって制限があります。糖尿病がある方への投与についても注意が必要です。

 これらのことから、特にインターフェロン及びリバビリンによる治療を受ける際には、主治医とよく相談して行うことが重要です。また、十分な知識と経験を持った専門医の指導、あるいはその協力の下に行うことが望ましいといえます。

Q46:インターフェロンによる症状や副作用を軽減する方法にはどのようなものがありますか?

 まず、どういう副作用が出たか、担当医に話しましょう。副作用の一部はインターフェロンを夜に投与したり、減量したりすることによって、減らすことが出来ます。また、インフルエンザ様の症状は、鎮痛解熱薬を投与することによって軽減できます。

 

Q47:インターフェロンおよびリバビリンを使用した治療は子供にも行えますか?

 インターフェロン、リバビリンの子供等への使用については、使用経験が少なく安全性が確認されていないので通常はおこないません。

 また、子供の場合は病気の進行が遅く、直ちに治療を行う必要性は低いという意見もあります。主治医とよく相談して下さい。