妊娠と授乳

Q29:妊婦はC型肝炎ウイルス抗体を検査しなければいけませんか?

 妊娠しているからといって、C型肝炎ウイルスに感染する危険が増えるわけではありません。もし妊婦でC型肝炎の危険因子を持っているようなら、一般の方と同様にC型肝炎ウイルス検査をお勧めします。

 

Q30:C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)の母親から生まれた子供への感染のリスクはどのくらいですか?

 C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)の妊婦84人から生まれた子供87人(3組が双子)を生後1年以上にわたって調べた結果、このうちの2人(2.3%)にだけHCVの感染が起こっていました。なお、HCVに感染した子供も、しなかった子供も、とくに母乳による授乳制限などはしていないことが明らかにされています。ということは母乳からの感染はほとんどないことを示しています。

 また、別の調査から、子供にHCVの感染が起こってしまった場合でも比較的早期(生後2年以内)にウイルスが身体から排除される場合もあること、また、子供の時は肝臓の病気が進みにくいために、成人してからでもインターフェロンなどによる治療が可能であること、なども明らかになっています(厚生省肝炎研究連絡協議会、平成7年度分子疫学研究総括報告書)。さらに、C型肝炎の治療が急速に進んでいることも朗報です。

 これらのことは、C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)の女性でも妊娠、出産についてとくに心配する必要はないことを示しているといえるでしょう。

 

Q31:C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)の母親からの授乳には注意が必要ですか?

 授乳でC型肝炎ウイルスが感染したとの報告はありません。ただし、C型肝炎ウイルス陽性の母親で乳首に傷があったり、出血している場合は、感染する可能性があるので、傷などが治るまでは授乳を控えてください。

 

Q32:C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)母親から生まれた子供には検査が必要ですか?

 C型肝炎ウイルスに感染している母親から生まれた子供には、母親の胎盤を通して移行するC型肝炎ウイルス抗体が12ヶ月ぐらいは残存していますので、生後12ヶ月まではC型肝炎ウイルス抗体検査を行っても判断ができません。もしどうしても生後12ヶ月より前に結果を知りたい場合は、生後3〜6ヶ月経ってからC型肝炎ウイルスRNA検査を行ってください。

 しかしQ30に示したようにC型肝炎ウイルスの母子感染率はそれ程高いものではないため、過度に神経質になる必要はないと言えます。