診断と検査

Q4:C型肝炎の検査はどこで受けることが出来ますか?

 C型肝炎の診断のための検査は、血液検査で行うことができます。ほとんどの病院や診療所でこの検査が可能です。

 

Q5:C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べるには、どのような検査がありますか?

 C型肝炎ウイルス(HCV)に感染しているかどうかは採血して検査します。HCV抗体陽性の人の中には、「現在ウイルスに感染している人」(C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア))と「HCVに感染したが治ってしまった人」(感染既往者)とがいます。

 このため、現在では、C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)とHCV感染既往者とを適切に区別するために血液中のHCV抗体の量(HCV抗体価)を測定することと、HCVのコア抗原を検出すること、および核酸増幅検査(NAT)によりHCV RNAを検出すること、の3つの検査法を組み合わせて判断する方法が一般に採用されています。

 なお、HCVに感染した直後であるために、身体の中にHCVがいても、HCV抗体が作られる以前(HCV抗体陰性)の時期(HCV感染のウインドウ期)に検査を受ける場合もありますが、これは新規のHCV感染の発生が少ないわが国ではごくまれなこととされています。

 

Q6:HCVのコア抗原検査とはどのようなものですか?

 C型肝炎ウイルス(HCV)の構造は、ウイルスの遺伝子(RNA)と、これを包んでいるコア(芯)、そして、一番外側を包む外殻(エンベロープ)から成り立っています。

 HCVコア抗原の検査は、HCVコアタンパクを直接検出する方法で、最近その検出感度がよくなってきたことから日常検査に利用することが認可されました。HCVコア抗原検査はC型肝炎ウイルス(HCV)の粒子を構成するたんぱくを直接検出する方法であるということができます。

 

Q7:核酸増幅検査(NAT)とは、どのようなものですか?

 核酸増幅検査(Nucleic acid Amplification Test:NAT)とは、標的とする遺伝子の一部を試験管内で約1億倍に増やして検出する方法で基本的にはPCRと呼ばれているものと同じ検査法です。

 この方法をC型肝炎ウイルスの遺伝子(HCV RNA)の検出に応用すると、血液(検体)の中に存在するごく微量のHCVの遺伝子を感度よく検出できることから、HCV抗体が「中力価」〜「低力価」陽性を示す人をC型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)とHCVの感染既往者とに分けることができるようになりました。また、HCV感染の初期でHCV抗体が作られる以前(HCV抗体陰性)の時期(HCV感染のウインドウ期)にある人についても的確に診断ができるようになりました。

 従来より、全国の日赤血液センターにおいて、HCV抗体価が高力価(HCV抗体価212[4,096倍]以上)陽性を示す献血者は現在「C型肝炎ウイルス(HCV)に感染している可能性がきわめて高い」ことから希望者には通知し、以後の健康管理に役立てていただくことが行われてきました。

 日本赤十字社では、NATによるHCV RNAの検出が軌道に乗ったことから、2002年4月より、HCV抗体価が「中力価」〜「低力価」(211[2,048倍]以下)陽性を示す献血者の血液についてNATによりHCV RNAの有無を判定し、感染早期でまだHCV抗体ができる前(HCV抗体のウインドウ期)の献血者も含めて、希望者にはその結果を通知することを始めています。

 

Q8:C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べるための検査費用はいくら位かかりますか?

 肝炎の症状がある場合で、医師が必要と判断した際には医療保険が適用となります。この場合、患者さんの負担については、例えば健康保険本人の場合では3割負担となります。

 平成14年度(2002年度)から、老人保健法による基本健康診査の中に「肝炎ウイルス検診」が取り入れられています。これは、40歳以上の方を対象に節目検診及び節目外検診として実施されています。

 (詳しくはQ56、Q57をご覧下さい)。

 なお、「肝炎ウイルス検診」の対象とはならず、また、症状が全くない場合で、個人の希望で医療機関で検査を受ける際には自由診療となり、医療保険の適用とはなりません。具体的な料金等については、医療機関に相談して下さい。

 

Q9:C型肝炎ウイルス抗体検査では偽陽性がありますか?

 現在市販されているC型肝炎ウイルス抗体検査(HCV抗体検査)の試薬を用いた場合、「正しい意味での偽陽性反応」はほとんどないと言ってよいでしょう。

 しかし、HCV抗体陽性者の中には、「現在HCVに感染している人」(C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア))と、「HCVに感染したが治ってしまった人」(感染既往者)とがいることから、HCV抗体検査そのものの精度をあげるだけではC型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)であるかどうかの正しい診断はできないことがわかっています。

 このため、現在では、C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)とHCV感染既往者とを適切に区別するために、血清中のHCV抗体の量(HCV抗体価)を測定することと、HCVコア抗原検査、および核酸増幅検査(NAT)によりHCV RNAを検出すること、の3つの検査法を組み合わせて判断する方法が一般に採用されています。

 

Q1O:C型肝炎ウイルス抗体検査では偽陰性がありますか?

 現在市販されているC型肝炎ウイルス抗体検査(HCV抗体検査)の試薬を用いた場合、「正しい意味での偽陰性反応」はほとんどないといってよいでしょう。

 ただし、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染した直後であるために、身体の中にHCVがいても、HCV抗体が作られる以前(HCV抗体陰性)の時期(HCV感染のウインドウ期)に検査を受ける場合もありますので注意が必要です。           

 しかし、新規のHCV感染の発生が少ないわが国では、偶然にHCV感染のウインドウ期に検査を受けることは、ごくまれなこととされています。

 

Q11:感染後どのくらいの期間が経てば、「C型肝炎ウイルス抗体検査」でウイルスに感染したことが分かりますか?

 一般に感染後3ヶ月くらいでHCV抗体は検出されるようになります。

 

Q12:感染後どのくらいの期間が経てば、「C型肝炎ウイルスRNA検査」でウイルスに感染したことが分かりますか?

 感染したC型肝炎ウイルス(HCV)は、きわめて早いスピードで増殖することがわかっています。例えば、最近の研究により、感染成立直後では血液中のウイルス量が2倍に増えるために要する時間(ダブリングタイム)は10時間弱、10倍に増えるために要する時間は1.5日弱であることがわかりました。従って、HCVに感染してから少なくとも1〜2週間後には核酸増幅検査(NAT)によりHCV RNAは検出可能となります。

 

Q13:どのような人がC型肝炎の検査を受ければよいですか?

 以下のような方々は、C型肝炎ウイルス感染の可能性が一般の方々より高いと考えられています。

a. 1992(平成4)年以前に輸血を受けた者

b. 長期に血液透析を受けている者

c. 輸入非加熱血液凝固因子製剤を投与された者

d. cと同等のリスクを有する非加熱凝固因子製剤を投与された者

e. フィブリノゲン製剤(フィブリン糊としての使用を含む。)を投与された者

f. 大きな手術を受けた者

g. 臓器移植を受けた者

h. 薬物濫用者、入れ墨をしている者

i. ボディピアスを施している者

j. その他(過去に健康診断等で肝機能検査の異常を指摘されているにも関わらず、その後肝炎の検査を実施していない者等)

 フィブリノゲン製剤は、産科の疾患その他で出血が多かった方や、大きな手術をされた方に使われた可能性があります。フィブリノゲン製剤が使用された疾患については、

http://www.mhlw.go.jp/houdou/0105/h0518-2a.html#betu1

をご参照ください。

 

Q14:C型肝炎ウイルス抗体が陽性であることが分かったら、どうすればいいですか?

 C型肝炎に詳しい医師による精密検査が必要です。まず、C型肝炎ウイルス核酸検査を受け、「現在ウイルスに感染している」のか、「過去にウイルスに感染したことがある(=感染既往)」かを判別します。「現在ウイルスに感染している」こと(C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)であること)がわかった場合には、肝臓の状態(肝炎の活動度、病期)を調べ、直ちに治療を始める必要があるか、当分の間は経過を観察するだけでよいかを決定します。

 

Q15:C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)であることがわかったらどれくらいの頻度で肝臓の状態を調べたらいいですか?

 献血をした際や各種の検診を受けた際などにC型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)であることが初めてわかった人を定期的に詳しく検査してみると、ほとんどの人の肝臓に「異常」(慢性肝炎)がかくれていることがわかってきました。しかし、大部分の人では、その程度は軽く、ただちに本格的な治療を必要とするほどには進んでいないこともわかっています。

 

 C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)であることがわかったら、まずご自身の現在の「肝臓の状態」を正しく知るために下記の事項を守って下さい。

1. 定期的に(少なくとも初めの1年間は2〜3ヶ月に1回程度)「肝臓の状態」のチェックを受ける。

2. その時、その時の自分の肝臓の状態を正しく知る。

3. 主治医とよく相談して健康管理(定期検査の間隔など)および必要に応じて治療の方針を立てる

 

Q16:肝臓の状態を調べるために病院ではどのような検査が行われているのですか?

 病院では一般に血液検査と超音波(エコー)検査が行われます。

<血液検査>

1.肝炎ウイルスの検査

 C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)であることの確認、必要に応じて、HCVの量、HCVの型(セロタイプ、ジェノタイプ)などについても調べます。

2.血液生化学

 AST(GOT)、ALT(GPT)値の測定により、肝細胞破壊の程度(活動度)を調べます。この他、肝臓の機能(タンパク質合成の能力、解毒の能力などが保たれているか)、血小板数なども調べます。

<超音波(エコー)検査>

 肝臓の病期の進展度合(ごく初期の慢性肝炎か、肝硬変に近い慢性肝炎かなど)、肝臓内部の異常(がんなど)の有無を調べます。

 これらの検査の結果、必要に応じて次の段階の検査(CT、MRI、血管造影など)を行うこともあります。

 

Q17:C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)で肝機能検査値の異常がみられる場合にはどうしたらいいですか?

 C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)で肝臓機能異常(慢性の炎症)がみつかった人でも、ただちに本格的な治療を必要とするほど進んだものではない場合が半数以上にのぼります。

 しかし、ある程度進んだ慢性肝炎を放置すると、時によっては知らず知らずのうちに肝硬変や肝がんに進展することもあるので注意が必要です。

 初診時に、ごく軽い慢性肝炎でただちに本格的な治療を始める必要はないと診断された場合でも、定期的(2〜3ヶ月ごと)に検査を受け、新たに肝臓に「異常」が起こっていないかどうかをその都度確認することが大切です。

 定期的に受診して、肝臓に「異常」がないことを確かめることと、他人への感染予防を心がけるかぎり、日常の生活習慣の変更や日常活動の制限などをする必要は全くありません。この場合、もちろん治療の必要もありません。

 詳しくは、主治医と相談して下さい。

 

Q18:C型肝炎ウイルスに持続感染していても(C型肝炎ウイルス持続感染者(キャリア)であっても)肝機能検査が正常の場合がありますか?

 あります。C型肝炎患者の肝酵素(ALT、AST)値は変動しますから、ある時は正常値、別のある時は異常高値という場合があります。慢性肝疾患があっても1年以上肝酵素値が正常の方もいます。日本赤十字血液センターで献血をした際に発見された912人のC型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)(平均年齢45.5歳)の病院初診時の臨床診断結果は、慢性肝炎547人(60.0%)、肝硬変5人(0.5%)、肝がん1人(0.2%)で、初診の段階では「異常が認められなかった人」、つまり、AST(GOT)、ALT(GPT)値が正常値を示し、画像診断上も異常を認めなかった人が354人(38.8%)でした。

 

Q19:C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)であることがわかりましたが、アルコールはこれまでと同様に飲んでもいいでしょうか?

 C型肝炎ウイルス持続感染者(HCVキャリア)であることがわかりましたが、アルコールはこれまでと同様に飲んでもいいでしょうか?