おもと・万年青(ユリ科)

日本の関東以西、中国などに分布する常緑多年草。葉が常に青いため万年青といい、また、株が太いのでオオモトと呼ばれるが、後にオモトとなったと言われる。葉が美しいため、江戸時代から観葉植物として栽培されている。また、長寿や引越し時の祝儀用の生花として利用される。 ※平成14年12月掲載

生薬名:万年青根、万年青葉

薬用部:根茎、葉

効用:根茎、葉に強心配糖体のロデインやロデニン、ロデキシンA、B、C、D等が含まれる。ロデインやロデキシンにはジギタリス様の強心作用があるが、ロデニンは逆に心臓に対して抑制的に働く。これらの中毒作用としては、悪心、嘔吐、頭痛、不整脈、血圧低下があり、更には全身痙攣の後に死亡することもある。漢方では、強心、利尿、解毒の効能があり、心不全や浮腫、化膿症、ジフテリア、毒蛇咬症などの治療に用いるが、毒性が強いため、内服や家庭での使用は避けた方がよい。

用法:民間薬療法では、肋膜炎に根茎のすりおろした物を酢と小麦粉で練って足の裏に貼る方法、葉の絞り汁を乳房のはれやフケに使用する方法、葉を煎じて疥癬に外用する方法等がある。